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最近ブルゴーニュの有名ドメーヌを始めとして、フランスで多くのワイナリーに世代交代が行われています。
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親世代の多くは90年代から今日までの世界的ワインブームを牽引してきた輝かしい生産者たち。彼らからその子供たちの世代、主に80年代から90年代生まれの人たちに続々と継承されています。
飯田の取り扱いとして身近なところでは、ヴォーヌロマネの名門グロ一族(ミッシェル・グロ、グロ・フルール・エ・スール、アンヌ・グロ)やアミオ・セルヴェルといったところでしょう。
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ヨーロッパのワイン産業は基本的に家族経営のところがほとんどです。フランスをはじめとした旧世界のワイン生産者たちは多くが100年以上何世代にもわたって畑や醸造所を相続して今日に至ります。ブルゴーニュの場合、フランス革命前後つまり1700年代後期に修道院や貴族から多くの畑が平民たちに譲渡され、それ以来脈々と受け継がれている畑が多く、更にイタリアに至っては14世紀ごろメディチ家時代の貴族からの継承などがいまだに続きます。西洋の歴史とともにワイン文化が今日に継承されていることが多く見受けられ、ワインがいかに特別な存在なのか、ということを実感します。
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実際、現地のワイナリーを訪問した時に「一番大切なことは風土を反映した素晴らしいワインを造ること、そしてその畑と味わいを次の世代に継承すること。」と語る生産家に数多く出会います。子供たちに引き継ぐことこそが最大の使命である、というところは私たち日本人の意識にも共感する部分が多いですが、日本人以上に親の仕事を引き継ぐ意思の強さを彼らから感じます。日本的には田舎から都会に出て成功する、というのが成功者の理想像のようなところがありますが、彼らの意識はもっと地元に根付いているようです。
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親の世代やそれ以前の世代ではワイン産業は現在ほど経済的に恵まれた環境ではなかったのですが、1980年代以降の世界的なワインブームによって名産地のワイン産業は注目され、経済的にも潤うようになりました。その間ワインジャーナリズムが発展し、最近ではSNSによって現地情報がリアルタイムに発信されるようになり注目度が高くなりました。生産現場でも多くの新しい技術が導入されるようになりました。
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90年代以降多くの生産者の子弟たちは、高度な学力を身に着け、醸造専門学校や大学の醸造学科で学ぶようになりました。そして学校の卒業後もフランス国内だけでなく、カリフォルニアやニュージーランドなど様々な最先端の醸造技術を新世界のワイン産地で修業することによって技術だけでなく国際感覚をも習得することになりました。30年前のブルゴーニュでは、英語を話すのは、一部の大手輸出業者の担当者くらいでしたが、最近は若手生産家の少なくない人たちも英語を話すようになってきました。
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さて、現実的に一番心配なのは親から子供に継承された後のワインの出来についてです。よく一部の愛好家から「親の時代のワインは素晴らしかったけれど、子供になってからは・・・」という、お話を聞かされる機会が多いです。次世代継承も様々な形があるのでもちろんケース・バイ・ケースなのですが、経験上ほとんどの場合、新しい世代の方が品質向上している、と感じています。まず大切な畑や醸造設備はそのまま継承される、もしくは次世代になり新しい設備が導入されることによって基本的な部分がプラスになります。そして、何よりも若い世代は新しい技術や知識の多くを外の世界から習得して実家のワイナリーに応用するために品質向上する場合が多いのです。一部では世代交代によってカリスマ的な人気生産者となり世界市場で注目されるケースも出てくるようになりました。(それはそれで価格急騰という問題もあるのですが)
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現実的な問題として最近話題になるのは、ブルゴーニュワインの価格があまりに高騰することによって畑の土地価格も高騰し、相続の時に後継者に高額の税金が発生することが社会問題となっている模様です。
2017年にフランスで制作され、日本でも公開された映画「おかえり、ブルゴーニュへ(Ce qui nous lie)」では、ムルソーの生産家が高齢で危篤になり、子供たち3人に相続の様々な問題が降りかかることをコミカルに演出しました。映画を通して私たちもこの現実を楽しく知ることができます。地元の超一流生産家たちも協力して制作されているのでとてもリアリティーがあり楽しめました。現在ネット配信で鑑賞可能です。
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また、世代交代が行われると単純に親の畑をそのまま相続するのではなく、親族間で管理する畑の移動なども行われたり、子供が複数人で別々に独立したり、と様々なパターンが行われるので、その継承を見守り、情報を得ることも重要なことになります。たとえば、ミッシェル・グロでは2022年から偉大なグランクリュであるエッシェゾーやリッシュブールがラインナップに加わることになりました。とても楽しみです。
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ところでカリフォルニアなど、新世界のワイナリーはどうなっているのでしょうか。
新世界の多くのワイナリーは70年代以降に設立されたところが多く、事業継承はこれからの課題となるでしょう。
今日私たちが目にする新世界のワイナリーの多くはフロンティア精神に則ってワイナリーを創設し、成功した人々のものです。また、他の事業で成功した人が第二の人生としてワイナリーを創設している人も多くいます。彼らの文化では旧世界のような親子による事業継承という考えは多くありません。
理想のワインづくりを市場に認知させてブランド力を上げ、最終的にはワイナリーの価値を高めて売却する、というビジネス・モデルが主流となっています。親と子供は違う人生を歩む、というのが彼らの基本的な考え方と見受けられます。
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そのような考え方の違いが生まれてくるワインの味わいの違いにも表れてくるように思えてなりません。
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| 2025/3/17 内池直人 筆
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