ブルゴーニュ訪問の所感 |
昨年5月下旬より6月上旬まで、5年ぶりにブルゴーニュの生産者を訪問してきました。
前回訪問時と比較して、体感として最も印象的だったことが2点ありました。 第一に、気候変動の影響がより一層顕著になっていること。 第二に、コロナ禍と戦争による世界的なサプライチェーンの停滞に端を発した大幅なインフレです。
|
この時期としては異例の熱帯夜が続きました。滞在したボーヌのホテルの部屋にはクーラーがなく、寝苦しい夜を過ごしました。
一方で、開花時のこの好天が幸いし、ブルゴーニュ2023ヴィンテージは平年以上の収穫に恵まれたとのことです。これも気候変動を肌で感じたエピソードの典型です。
|
| 試飲したのは、史上稀にみる大規模な霜害に見舞われ収穫量激減の苦難のヴィンテージ2021と、比較的天候に恵まれ平年並みの収穫を確保できた翌2022ヴィンテージが中心です。
|
5年前、2019年の訪問時は、2016年の霜害による収量減がもっぱら話題に上りましたが、2021のそれは比較にならないほどの大きな被害をもたらしました。
通常、冷たい空気は比重が重い為、低いところに集まります。平地にあるACブルゴーニュやヴィラージュのエリアがもっとも霜害の被害が大きく、丘陵部にあるプルミエ・クリュやグラン・クリュは比較的被害が少ないのはそのためです。 しかし、2021年の霜害は異なりました。高低差100メートル以上にもおよぶ強烈な大寒気団は、コート・ドールを丸ごと飲み込み、ブドウの芽だけでなく、ブドウ樹の根にまで深刻なダメージを与えました。文字通りの『根絶やし』です。その年のブドウの芽の被害による収量減だけではなく、ブドウ樹そのものを枯らしてしまう恐ろしい『黒い霜』だったのです。 未だかつて記憶にないほどの、この自然の猛威の前には為す術すらもなかったそうです。世界各地でのゲリラ豪雨同様、気候変動の影響は、極端かつ極地的に被害をもたらしています。
|
| この話を聞いて最も心に残ったことは、一見、のどかで整然と拡がる緑一面のブドウ畑とは対照的に、年々顕著になる気候変動と闘い続ける生産者たちの姿でした。
|
古より、ブルゴーニュ地方は冷涼な気候による雹や霜の被害が多く、栽培に苦心してきた歴史があります。 抗いようもない数々の自然の脅威に打ちのめされても、その度に不屈の魂で立ち上がり、ブドウを育て、ワイン造りを続ける。
|
 |
そんな生産者たちの想いを多くの方がたに伝えてゆく一助となれれば…
ロマネ・コンティの畑の十字架の前で、ぼんやりとそんなことを考えていました。
自然災害からブドウを守るため、十字架を建て、祈りを捧げてきたヴィニュロンたちに想いを馳せながら。 5年ぶりのブルゴーニュ訪問は、自身のミッションを改めて確認できた貴重な機会となりました。
|
中でも、最も感銘を受けた新規ドメーヌ、Denis Carreの希少な2021ヴィンテージがついに入荷しました。 見たまま、感じたまま、その一貫したワイン造りのポリシーに焦点を当ててご紹介させていただきます。 Denis Carreの魅力の一端でもお伝えすることができれば幸いです。
|