ドイツワインの魅力発見!
〜飯田取り扱いドイツワインの産地ご紹介〜

モーゼル  ゼルバッハ オスター

ナーエ  ドクター クルジウス

バーデン  シェルターワイナリー

13のワイン生産地域があるドイツ。その大半が南西部にあり、ライン川とその支流に沿って分布しています。伝統的に川沿いの斜面を利用してのブドウ栽培が行われており、日照効率の良さや水はけのよさが特徴です。
今回は、弊社取り扱いのある3つの産地について、産地別の特徴と、その産地でワイン造りを行うワイナリーについてご紹介します。
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モーゼル地方

ルクセンブルクとの国境に接するドイツ最西のワイン産地、モーゼル地方は、その名の通りモーゼル川の流域に位置し、川の流れに沿って斜度30度を超える急斜面に畑が広がっているドイツ国内でも屈指の景観を誇るワイン産地です。
上流部のオーバーモーゼルは石灰岩メインの土壌ですが、その他の地域は粘板岩の土壌で有名なエリアになります。

太陽が南向きの急斜面を照らすだけでなく、モーゼル川の川面が太陽の光を反射しブドウ樹に降り注ぎます。また、斜面の最上部には森があり、夜間の冷たい吹き下ろしの風を防いでくれます。

これらテロワールがもたらす穏やかな気候のおかげで、ブドウはゆっくりと熟すため、他エリアに比べて遅い収穫が可能になり、複雑な果実味とニュアンスを持つ、低アルコール度数のミディアムボディのワインが生まれるのです。
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モーゼルを語る上で外せないスレート(粘板岩)土壌

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英語ではスレートSlate, ドイツ語でシーファーSchieferと言われる土壌で、泥岩やシルト岩が堆積した後、圧力と高温によって変性した結果生まれた堆積岩の一種です。
その起源は約4億年前のデボン紀にまで遡るといわれています。
このスレート土壌は、パイ生地のように、剥離するようにして割れるという特徴を持ちます。
蓄熱性にも優れており、日中の太陽の熱を備蓄し、夜間に放出しています。また割れやすいことで、ブドウが地中深くまで根を伸ばすことができるため、痩せた土壌でも必要な水分とミネラルを吸収することができるのです。

モーゼルを代表する仕立て方法<棒仕立て>

mosel4 モーゼルのような、太陽の光を少しでも多く取り入れる為に河岸の急斜面にブドウ畑が作られているモーゼルの様なエリアで見られる仕立て方が<棒仕立て>です。立っているのもやっとという急斜面に畑があるのでもちろん機械での収穫は出来ず、全て手作業で収穫を行う必要があります。
そのため、作業を行う人が上下左右に動きやすいように考えられた手法です。具体的にはブドウの樹1本ずつに支柱をあて、左右からとった2本の枝を、支柱を中心にハート形に縛りつける整枝方法です。

ゼルバッハ オスター

ゼルバッハ家は、多くの銘醸畑が点在するモーゼル川中流のベルンカステル地区ツェルティンゲン村にあり、1661年よりブドウ栽培を行う350年以上もの歴史を持つ伝統ある醸造所です。
現オーナーのヨハネスは同じくモーゼル川の上流にあるドイツ最古の町といわれるトリーアで醸造を学んでから、経営やマーケティングについても学び、アメリカでワインビジネスコンサルタントとして経験を重ねました。
1988年に帰郷。その後、醸造所の運営に参画し、現在は妻のバーバラと息子のセバンスチャン、娘のハナも加わり、ワイナリーを運営しています。
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ワイナリーの歴史

ゼルバッハ家は、ヨハネスの祖父の時代からケラーライ(ブドウ、ワインを買い付けて、醸造、瓶詰め、販売を専門にする業者)としての高い評価と信頼を得て、輸出も行っていました。※当社扱いJ&Hゼルバッハブランドがこちらにあたります。
1964年以降、自社畑を少しずつ拡張し、現在所有する畑は、モーゼルの中心部、ツェルティンゲンからモーゼル川に沿ってヴェーレン、グラッハ、ベルンカステルまで、6kmの通称「ゴールデンマイル」と呼ばれるエリアにあり、トータルで24haになります。 その中には、第一級の銘醸畑であるゾンネンウーア(ツェルティンゲンとヴェーレンにまたがっています)も含まれています。

ワイン造りの哲学

ゼルバッハのワイン造りの哲学は「ブドウ畑ではハンズオン(できる限り手を加える)、醸造所ではハンズオフ(できる限り手を加えない)」です。
収穫は、完熟ブドウのみを厳選し全て手摘みで行います。40度を超えるような急斜面での作業は膨大な仕事量と危険を伴います。
旧式な桶型プレスを今でも「アウスレーゼ」以上に使用し、プレス機は使用しません。
発酵は、ほとんどが天然酵母を使用し、温度管理を徹底し低温で十分に時間をかけて行い、その後しばらくワインは澱と一緒に寝かされます。ワインの半分は大きく古いオーク樽(「Fuder」)で熟成させます。ワインに樽の風味を加えることはありませんが、少し好気的に行うことでゆっくりと熟成が進みます。
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>>>>>ゼルバッハ オスター取り扱いワインの一覧はこちらから

ナーエ地方

ナーエ地方はラインヘッセンとミッテルラインに挟まれたドイツ南西部に位置しています。ライン川に流れ込むナーエ川の河口から扇状に広がる産地となります。
モーゼル地方との間にそびえるフンスリュック山地のおかげで、西からの冷たい風から守られ、温暖で日照時間を享受しています。それにより特にリースリングのアロマを際立たせ、フルーティでイキイキとした酸を持つ軽快なワインに仕上がります。過去は様々な交配品種の試験栽培地のようなエリアでしたが、90年代以降、上記のような理由からリースリングに回帰していっており、ドイツ国内でも高品質なリースリングを生み出すエリアとなっています。

ドイツでも最も多様なスタイルの土壌

ナーエ地方はドイツ国内で最も土壌が多様な地域で、エリア内の土壌タイプは180種を超えるとも言われています。中部では、石英(クオーツ)や斑岩(ポーフィリー)、メラフィリー、雑色砂岩などが見られ、バート・クロイツナッハの周辺には風化土壌や砂岩由来の粘土層や、レス、ロームが見られます。土壌の多様性ゆえに、多様な品種の栽培、多彩なスタイルのワイン造りが可能になります。

ドクター・クルジウス

クルジウス家は、1576年、トライゼンの小さな村にその歴史がスタートした伝統あるファミリーです。 ワイン造りは代々受け継がれ、1888年には現在のワイナリーの礎が築かれました。1950年頃に、ハンス・クルジウスが約7.5haの畑を購入し生産者元詰めワインの生産をスタート、ブドウ栽培農家からの大きな転換期となりました。
息子のピーターは、ホーエンハイム大学でディプロマを取得、ガイゼンハイムにて醸造研究を行いました。その後クルジウスワイナリーの運営に参画、1990年にはワイナリー名をドクター・クルジウスと改め、トライゼン、ニーダーハウゼン、ノルハイムなどのエリアに畑を購入し本格的な運営に乗り出しました。
現在はガイゼンハイムで醸造学を学んだ娘のレベッカがエノロゴとしてワイナリーに積極的に参画しています。
現在では5つの地域で約21haの畑を所有し、55%がリースリング種、それ以外にピノブラン種(25%)やミュラートゥルガウ種、シャルドネ種、ピノノワール種を栽培、ブドウの個性を大切にしたワイン造りに情熱を注いでいます。年産12万本、フルーティで複雑味のある、ミネラルリッチなワインを産出しています。

所有する畑

ワイナリーは、ナーエの象徴でもあるローテンフェルスと呼ばれる赤い断崖の麓にあり、主に火山岩や赤岩・花崗岩で形成された土壌の、5つの異なる素晴らしいテロワールの畑を所有しています。
ドクター・クルジウスでは、各々のテロワールに適した品種を栽培し、個性を最大限に表現しています。
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@ Traisen トライゼン 南向きで深層のグラーヴ土壌に根差しているため排水がよく、リースリング以外に、ヴァイスブルグンダー(ピノブラン)、オーセロワ、グラウブルグンダー(ピノグリ)を栽培しています 。

A Schlosbockelheim シュロスボッケハイム ローテンフェルスから約8キロ離れた上流の一番いい場所に2haを所有。素晴らしいアウスレーゼを造っています。

B Niederhauser felsensteyer ニーデルハウザー・フェルゼンステヤー 風通しのよいナーエ川の谷の上部に位置。スレートの割合が高く、保温性の高い粘土質土壌から良質な甘口ワインを産出します。

C Traiser Rotenfels トライザー・ローテンフェルス ユニークな赤い岩でできた山塊、ローテンフェルスの肩の部分の南向き斜面に7haの畑。赤みがかった火山岩の土壌。ここでは、リースリングの他、シュペートブルグンダーも栽培しています。
DTraiser Bastei トライザー・バスタイ バスタイはドイツで最も小さな最上級の畑のひとつ。

赤い岩の山塊によって自然に温度管理されており、この地の風化したユニークな火山岩の土壌から最上のリースリングが生まれます。夜間は土が凍り、昼暖かくなると地盤が緩んで岩が落ちてくるため、日中の畑仕事ではヘルメットが欠かせない、まさに命がけの作業です。オーガニック栽培を実践しています。
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Dr.CRUSIUS1 また、ドクター・クルジウスの所有する畑は、およそ2/3がプレディカーツヴァイン醸造所連盟(VDP.Die Pradikatsweinguter)が独自に施行した新たな格付けのグローセス・ラーゲ(特級)やエアステ・ラーゲ(1級)にあたり、グローセス・ラーゲの頂点ともいえる1.2haのバスタイの畑のうち約4割に当たる0.5haを有しています。

>>ドクター・クルジウス取り扱いワインの一覧はこちらから

バーデン地方

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※参照:https://www.winesofgermany.jp/tourism/baden/
ドイツ最南に位置し、北はフランケン地方に隣接するタウバーフランケンから、南はスイスとの国境にあるボーデン湖の湖畔までと、南北に約400kmにわたって細長く伸びているドイツで3番目に大きなワイン生産地です。9つの異なるベライヒに分かれており、それぞれ特徴的であり景観的にも気候的にもかなりの差があるため、別々の産地と言っても過言ではありません。

1800年代後半に数多くの協同組合が設立され、今でもワインの約75%は大小様々な協同組合を通じて生産販売されています。ただ、1980年代後半以降、独立した小規模生産者が増えてきており、今では異業種からの参入や世代交代で協同組合から独立するケースが見られるようになっています。

バーデン地方は年間日照時間が1,700時間以上とドイツで最も太陽に恵まれた、最も暖かい地域です。 それゆえにバーデン地方は「ブルグンダー王国」と言われるようにブルグンダー種(シュペートブルグンダー、ヴァイスブルグンダー、グラウブルグンダー)にとって、理想的な生育条件が備わっています。

多彩な表情を持つ土壌

バーデン地方は、土壌も多様です。クライヒガウにはムッシェルカルクやコイパーが、タウバー川流域には石灰質土壌、陶土、マールの堆積土壌や肥沃なレス、ロームが、 カイザーシュトゥール、トゥニベルク、マルクグレーフラーラントには火山岩の破砕土壌が見られます。ボーデン湖湖畔では、熱をしっかりと蓄積するモレーン(堆石)の砕石土壌が支配的です。
 

シェルターワイナリー

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2003年にハンスベルト・エスペと妻ズィルケヴォルフ夫妻が、かねてからの念願だったピノノワールを醸造するワイナリーとして設立しました。二人はガイゼンハイム大学でワイン醸造学などを習得後、世界各国でワイン造りを経験し、初ヴィンテージの2003年から6年間、カナダ空軍が使用していた古いシェルターを使用してワイン造りを行ってきました。現在は重力に沿って醸造過程が進むグラヴィティシステムを導入した新しいシェルターで、出来る限りブドウやワインにストレスを与えないに有機栽培の実施などテロワールを重視した表現力豊かなピノノワールをベースに、シャルドネやピノノワール100%のスパークリングワインを手懸けるなど意欲的なワイン造りを実践しています。
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SHELTERWINERY3 ■リラ方式・・・ブドウ樹を上方にY字型にして栽培。十分な日照や風通しを良くし、ブドウにとって最良の環境造りをすることで、繊細なタンニンや果実味などブドウの成分アップに繋がる。
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