<醸造>
フレッシュな果実感を求めるル・プチ・カノン以外は、ニコラは、軽めのセニエを行う事でブドウの最も良い部分を凝縮させます。
その後、2〜8日間に渡って長めの発酵前浸漬を行います。6〜10℃でゆっくりと、手を加えずに多くのアントシアニンとデリケートなアロマが抽出出来ます。ただし、ブドウが過熟していると長めのマセラシオンで抽出し過ぎになりがちで、そのためにもブドウがフレッシュなうちに収穫することが非常に大事です。
低温浸漬後、16℃くらいに温度が上がったら、天然酵母によって発酵が自然と始まります。そこも、アロマを最大限に引き出すために、温度は低く、ゆっくりと発酵させます。ブルゴーニュでよく使われる手法で、ブドウが持つアロマの要素が全て引き出せる方法です。濃厚なワインを造ろうとせず、果実感とフレッシュさを求めているので、ルモンタージュは少なめにしています。
基本的に、抽出は発酵前浸漬で十分と言う発想で、発酵中はあまり手を加えません。軽さと果実味が中心となるル・プチ・カノンは、ピジャージュさえ全く行いません。他のキュヴェは、茎の嫌な雑味や苦味を出さないよう、ピジャージュを自身の足でゆっくり、丁寧に行います。
発酵後、更に2週間ほどの浸漬を行います。主にコンクリートタンクでの醸造を経て、ステンレス熟成のル・プチ・カノン以外はワインを大樽に移します。温度が上がる春にはマロラクティック発酵は自然に始まります。樽香の付かない様に400〜600Lの樽を使っています(新樽不使用)。酸化を防ぐために、澱引きせず、最小限のバトナージュを行いながらシュールリーで熟成させます。
ワインにストラクチャー、熟成ポテンシャルとフィネスを与えるために、長く熟成させるのも、ニコラのワイン造りの特徴の一つです。最良の状態と思われるタイミングでボトリングを行うため、トップ・キュヴェは3年間以上がかかる事もあります。
樽での長期熟成は、コストもかかりますが、何よりも経験、知識、技術、そして根気が必要です。 |