ドメーヌ・ド・ロシャンボーのワイナリー便りVol.1

ユネスコ世界遺産にも登録されている美しい景観のロワール川流域。そのロワール川沿いに広がる有名なワイン産地のひとつアンジュー・ソミュールは、ブルゴーニュと同様に修道院がブドウ栽培に大きく貢献した歴史の古い産地で、フランスやイギリスの王家によく飲まれていたといわれている銘醸地です。
中でもアンジュー地区は、カベネフラン種による上質な赤ワインやシュナンブラン種による高級白ワインを産することで有名です。

 

アンジュー地区のテロワール

アンジュー地区のテロワールは大きくふたつに分けられます。
東は<アンジューブラン>と呼ばれる石灰による白い土壌で、名高いロワールの白ワインはその石灰の土壌から造られたものです。
西は<アンジューノワール>と言われるシストによる黒い土壌で、極上の白ワインで知られるサヴニエールのワインもこの土壌から生まれます。

このアンジュー地区で、オーガニック栽培に特化してコストパフォーマンスの高いワインを造っているのが、ドメーヌ・ド・ロシャンボーです。
ドメーヌ・ド・ロシャンボーの畑は、黒いシスト土壌のアンジューノワールで、日照を受けるとすぐに温かくなるため、このエリアでは晩熟品種のシュナンブランやカベルネフランでも完熟しやすくなり、豊かな果実味の素晴らしい味わいのワインが生まれるのです。


シストによる黒い土壌<アンジューノワール>

ドメーヌ・ド・ロシャンボー

ドメーヌ・ド・ロシャンボーは、モーリス・フォレストによって1985年に創業された家族経営のドメーヌです。
ブドウ栽培自体はアンジュー地区で1792年から続いている歴史ある生産者ですが、ドメーヌ・ド・ロシャンボーとなってからは、所有する7haの畑を現在の18haにまで拡大するとともに、積極的にオーガニック栽培にも取り組み、1998年にはすべての畑を転換しました。

ドメーヌの現当主は息子のコランタンで、2014年までボルドーで醸造を学んだ後、国内外の様々なワイナリーで研鑽を積み、2017年に戻った後、姉デルフィーネと父モーリスと共にドメーヌを運営しています。


右から、デルフィーネ、コランタン、モーリス
「良いワインは畑で生まれる」と言うフィロソフィーで、出来るだけ手を加えず自然な造りを目指しています。コランタンがボルドーで学んだ影響もあり、使用する樽の多くはボルドー産ですが、その大半は樽香の付かない古樽です。補糖は行わず、天然酵母で発酵、SO2の使用は最低限に抑え、珪藻土で濾過します。
年間生産量は45,000本ほどと小規模ながら、フランス国内のオーガニックショップ、酒販店やレストランに高く評価され、生産するワインのほとんどが現地で消費されている人気の造り手です。
このロワールの超優良生産者、ドメーヌ・ド・ロシャンボーをより深く知って頂くべく、今後、畑仕事を中心に現地の様々な出来事を、動画で定期的にお届けしてまいります。

今回は、4月にフランスを襲った霜害のその後の状況や直近の畑仕事、新たなチャレンジについて語って頂きました。

詳しくは動画をご覧ください。
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飯田