自由な発想から生まれる唯一無二のワイン
DOMAINE DU HAUT-PLANTY ドメーヌ・デュ・オープランティ

ドメーヌの歴史  現在のドメーヌ  栽培  ワイン造り

2018ヴィンテージ  ペアリング  ワイナリー紹介動画

<ドメーヌ・デュ・オー・プランティ>は、ロワール地方最大の都市ナントより車で南東へ30分ほど離れた、ル・ランドロー村にあります。ドメーヌの近辺はとても小さな村が点存する緑豊かなエリアで、ミュスカデで有名なブドウ栽培以外に野菜の栽培でも名高く、サラダ菜、トマト、アンディーブ、リンゴや山羊のチーズなど、非常に農業が盛んな土地です。
また、海にもロワール河にも近く、ウナギや生牡蠣など魚介類も多く消費されています。「Beurre Blanc」というバターソースを使った魚料理がその代表的な名物のひとつです。


 

ドメーヌの歴史

ル・ランドロー村はミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌの中心地に位置し、栽培面積ではそのエリアの最も重要な村のひとつとなります。元々は4つのシャトーが全面積を占めており、当時の農家達はシャトーに土地を借りたり、メテイヤージュ(分益小作賃貸契約)で生活したりしていました。1930年代から、シャトーの経済力の低下と共にそれぞれの農家が土地を買い始め、家族経営のファームが急増したのです。

何代にもわたってル・ランドロー村で農家として生活してきた<ドメーヌ・デュ・オー・プランティ>のクイヨー家も、かつてはメテイヤージュで生活してきましたが、1960年代に土地を買い始めてドメーヌを立ち上げ、ブドウ栽培に特化し自身の名前でワインを造り始めたのがミッシェル・クイヨーです。

当時はネゴシアンとの繋がりも強く、大量生産をすることでミッシェルはワイナリーにしっかり投資をすることが出来ました。
その後、ミッシェルからドメーヌを引き継いだのは、2人息子のアランとクリスティアンです。世代交代と共に発想も大きく変わりました。

醸造を担うアランは、90年代にサンテミリオンの醸造専門学校に通い始めます。当時はオーガニックワインの造り手は少なく、醸造も人為的介入の多いテクニカルな方法でした。こうした知識を身につけてドメーヌに戻ったアランは、コンクール入賞を目指し、父親と同じ大量生産の発想でワインを造り始めましたが、自然なワインを造りたいという願望が大きくなり、数年を経てオーガニック栽培へとそのスタイルを変えたのです。ワインの販路も、ネゴシアンから世界中のレストランやワインショップへの販売に切り替えました。

この新しい発想の方が自身に合っており、ずっと幸せである、と後にアランは語っています。

アラン・クイヨー

現在のドメーヌ

クリスティアンは栽培を、アランは醸造を中心に、畑からグラスまで、ドメーヌのワインは完全に家族で管理されています。
アランは醸造と共に販売も担い、現在、ドメーヌの代表者となっています。彼は、快活で社交的な非常に暖かい人柄で、畑やセラーにいない時は、国内のワインショップやレストランを精力的に巡っています。まだ日本を訪れたことがなく、いずれ訪日できるように努力していきたいと、意欲を見せています。

生産量の約半分は国内のワインショップやレストラン、30%ほどが輸出、残りは地元の個人客に販売しています。
ドメーヌでは合計25haの畑を所有していますが、現状ではオーガニック認証を取得しているのは12haです。全ての畑を切り替えていくつもりですが、それには新たな設備が必要になるので、植え替えと共に少しずつ認証化を進めています。

<ドメーヌ・デュ・オー・プランティ>としてリリースされているワイン(年間約40,000本)については、オーガニック認証の12haの畑のブドウで造られています。認証のない畑からBIB(3L)なども造っていますが、醸造所も社名も販路も異なります。まだ先ですが、認証化が完了したら、全ての畑を<ドメーヌ・デュ・オー・プランティ>に移す予定です。
近年ドメーヌに参画する事になった新世代、甥のエルワンがクイヨー兄弟と共に仕事をし始め新たな戦力になっています。ビオディナミに特に興味を持っているエルワンは、ドメーヌのフィロソフィーに対立する事なく、ナチュラルワインの方向にもう一方踏みだそうとしています。

栽培

全ての自社畑はル・ランドロー村の優れた斜面に位置しています。標高72m、ワイナリー自体が村の最も標高の高い丘の頂点に位置していますので、周りの畑を見下ろす事が出来ます。畑の一部はワイナリーに隣接していますが、全てが一か所にまとまっているわけではなく、様々な土壌質に恵まれており、最上の区画を単独で瓶詰めしています。

2015年からオーガニック認証を取得している<ドメーヌ・デュ・オー・プランティ>では、有機農法による栽培にこだわっています。薬草を用いた煎じ液を使用するなど、ビオディナミも参考にしています。少人数でドメーヌを運営しているので、手間のかかる有機農法は大変ですが、通常栽培に戻ることは、とても考えられないということです。

ギュイヨ・サンプル仕立ての畑

<ドメーヌ・デュ・オー・プランティ>の12haの畑のうち、ムロン・ド・ブルゴーニュ(ミュスカデ種)が圧倒的に多いですが、アブリューという古い黒ブドウも栽培しています。平均樹齢は植え替えの影響もあって区画によってバラつきはありますが、全体的に古木が多く、植密度6,000本/haで、平均収量は35〜40hl/ha程度に収まります。
仕立てはミュスカデ地区の伝統的なギュイヨ・ナンテですが、アランがボルドーで勉強したこともあり、ギュイヨ・サンプル仕立ても用いています。

ギュイヨ・サンプル:一方にバゲット(結果母枝)を、もう一方にクルソン(予備枝)を残す仕立て

ギュイヨ・ナンテ:バゲットに加え両方にクルソンを2本残す仕立て


ギュイヨ・ナンテ仕立ての畑
アランは常に好奇心を持っており、今後の小さなチャレンジとして、スペインの生産者との友情をきっかけにテンプラニーリョを植えてみる事にしました。その結果も楽しみです。

ワイン造り

ドメーヌでは、剪定、除草、トリートメントや収穫のタイミングなどでヴィンテージのポテンシャルが決まるということで、栽培を重視していますが、ワインの最終的なスタイルが決まる醸造にもこだわっています。アランの醸造は、栽培と同様に、可能な限り自然に近いアプローチです。
収穫をしたブドウは、直ぐに圧搾してコーティングされている地下セメントタンクに果汁を移します。ワン・ミュスカナイトの場合のみ、スキンコンタクトを行います。ゆっくりと、季節を越えて発酵させたワインを、キュヴェによってタンクのまま、または樽で長く熟成させます。
また、<ドメーヌ・デュ・オー・プランティ>の特徴はSO2(亜硫酸)無添加の醸造です。

レ・イオニエールというキュヴェだけは、ACミュスカデのスタイルを守るために、必要に応じて極少量(10〜40mg/l)のみ添加していますが、それ以外のワインは完全に無添加です。
使ったブドウ品種、スキンコンタクトの実施、SO2の無添加、または樽熟成の影響で、ACミュスカデを名乗れないキュヴェがほとんどで、結果的にAOCに当てはまるワインは「レ・イオニエール」一品のみ。
伝統を尊重しながらも様々なスタイルを通してテロワールを表現しようとする情熱的なアランは、古典的な“ACミュスカデ”に限定されず、自分が造りたいワインをヴァン・ド・フランスとしてリリースしています。

AOCに頼らず、自由な発想で自分らしいワインを造る、という個性派の造り手です。

ワン・ミュスカナイトとレ・イオニエールの案内書はこちら

 

2018年ヴィンテージ

2018年は霜などの被害なく、平均収量45hl/haで例年より豊かな収穫になりました。温暖なヴィンテージでもあって、凝縮してリッチなワインに仕上がりました。ただし、酸も際立って、フレッシュさがしっかり残った、バランスの良いヴィンテージです。熟成ポテンシャルもあり、2〜5年間ほど置いておいても良いワインです。

ペアリング

「ワン・ミュスカナイト」は豚や鶏肉、チーズやシャルキュトリーなどに。
「レ・イオニエール」はソースを使った魚料理、ロブスター、エビやカニなどに。
魚介類から白身肉まで、クイヨー兄弟が造る高品質のミュスカデは様々なお料理に合いますが、魚介類好きなアランの大好物は牡蠣と母親の思いに溢れる「Beurre Blanc」です。ご一緒に是非お試しくださいませ。


写真:レ・イオニエール1995年。
熟成によるまろやかさと複雑さが増しているものの、牡蠣に合うほどまだ非常にフレッシュなワイン

まさに自由に、唯一無二の味わいを追求する生産者、ドメーヌ・デュ・オー・プランティ。
続々とチャレンジし続けるドメーヌでは、今年から新たなスタイルにも挑戦するため、4つのアンフォラを購入して話題のアンフォラ熟成にも取り組む予定です。その結果も大変楽しみです。

詳しくはこちらの動画をご覧ください。
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飯田