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2015年6月、キアンティ・クラシコの中心地グレーヴェ・イン・キアンティ
地区のパンツァーノにあるワイナリー、「ラ マッサ」を訪問しました。

ナポリ出身のジャンパオロが、自身の夢を叶える為、家族が経営していた
革のビジネスを辞めてキアンティやボルドーで修行を積み、1992年に31歳
の 若さでスタートしたワイナリーです。

キアンティ・クラシコ協会を脱会し、バックラベルに焼かれる鶏のイラストを
載せるなど、破天荒ぶりが目立つジャンパオロですが、実際はどんな人物
なのか、ワクワクしながら訪問です。

今回の案内人は、フランチェスコ氏。栽培から瓶詰めまで携わりワイナリー
全体を支える人物です。

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こだわり&最新の栽培方法

まずは畑の見学から。

標高320〜450m、南東向きの斜面45haを所有していますが、 そのうち
27haが畑です。この地は、コンカドーロ(黄金の盆地)と呼ばれ、
適度な降雨量に風通しが良く湿度が残らない最高の条件を備えた場所です。

1998年から樹の植替えを行い、全ての畑を2mの深さに掘り下げ土壌構成を
精査しました。
その結果をもとに、標高毎に異なる粘土石灰質や泥灰土、 泥灰質石灰岩、
砂岩などのさまざまな土壌があることが分かり、区画を細分化 して管理し、
それぞれの区画に最適な品種を栽培しています。(写真右)

栽培方法は、ビオロジカルでもなくバイオ・ダイナミクスでもない、
フランチェスコ曰く、『Logical and Dynamic』なサステイナブル農法を
実践しているとのこと。対症療法として必要時最小限の『化学物質』を
使いますが、除草剤は使用しません。
畝間に雑草を植え、4月に刈り取って肥料になります。
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そして、特に力を入れているのが、気候の情報。

開花から栽培までの期間の細かい記録をデータに残し分析しています。

この分析を実現可能にしたのが、区画毎に設置された“Meteo Station”。
(写真右)

気温、湿度、気圧、風向き、降雨量などのデータを24時間体制で記録
することが可能で、センターに送られたデータを分析し、最適なタイ
ミングを見極めて作業を行うことができます。

また、iPadなどの携帯端末を使えば、いつでもどこでも情報を得る
ことが出来るというハイテク機材です!
lamassa3 Meteo Station
見た目からは想像できない
最新の観測機。

Meteo Stationの導入により、ベト病対策のボルドー液の散布量も
減ったといいます。

以前は、過去の経験値からタイミングを読んでいたため、年に
十数回も散布しそのたびにトラクターが土を踏み固める結果になり、
生育に影響が出てしまう年もあったとか。

現在は、経験に正確な 測定が加わり、必要最小限の量を効果的に
散布できるようになったそうです。

非常に論理的な一面が見られた畑見学となりました。
lamassa4 訪問時のブドウは、小さな粒の状態。
2週間後には余分な枝を取り払い、
実に養分を集中させていく。

圧巻の醸造ルーム!

続いては、醸造所の見学です。

設計は、シャトー・ムートン・ロートシルトなど数々のシャトーを 手掛けた
著名な建築家ベルナール・マジエール氏。
グラヴィティシステムが採用された最新設備で、塵ひとつ落ちて おらず
とても清潔にされていました。

収穫されたブドウは、1階にある選別ルームでまず4℃まで冷却し アロマを
キープ。房の状態で選別し除梗、更に粒ごとに選別した後 全粒発酵されます。

驚いた事に、プレス時の最初のマストは澱が多く酸化しやすい為使用しないそうです!

最後の部分もゴミが多くなるので使用せず、つまり、真ん中の濁りが最も
少ないピュアな部分だけを使用しているとのこと。

「道理で、どのワインも味わいに雑味がなく果実味がキレイなわけだ」と一同納得。
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さて、プレスされたマストは、そのまま負担がかかることなく地下の
醸造ルームへ移されます。

この部屋がまたすごい!!

天井は真っ赤、床は白と黒のチェック柄、迫力ある12機のタンクが
目の前に広がります。(写真下)

どこかで見たことがあると思いませんか?

そう、F1でも有名なあの「フェラーリ」です!

実はジャンパオロ、フェラーリが大好き。天井の赤はフェラーリカラー、
床はチェッカーフラッグ、極めつけは12気筒エンジンをイメージした
INOXタンク。

ここまでする?という徹底振りには、ある意味脱帽です。

最後に見学したセラーも、もちろんフェラーリ仕様。
もう驚きません・・・

でもすごいのは見た目だけではなく、セラーを扉できっちりと仕切り、
更に他の空間よりも気圧を高く設定しているということ。

気圧を高くする事で、扉を開けても外から空気が入り込むことがなく、
バクテリアの侵入を防ぐことが出来るそうです。

うーん、なるほど。
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畑と醸造所を見学してみて、派手なパフォーマンスの奥にある、
細部に渡って論理的に考えられたワイン造りと、またそれにかける
情熱がヒシヒシと伝わってきました。

自分の信じる道に向かってまっすぐに進むジャンパオロと、

そんな彼の姿がそのまま反映されたようなピュアでしなやかなワイン。

ますます彼のワインが好きになった訪問となりました。
lamassa7 建設費用がかかりすぎて
実はマイカーは、「スバル」
なんだよ。と話してくれた
ジャンパオロ。
何だか好感度UPです!
lamassa8皆で記念撮影。お世話になりました!