伝統と革新、力強さと優しさが同居した無二のワイン
JEAN TARDY ET FILS ジャン タルディ エ フィス

ジャン タルディ エ フィス  タルディ家の人々

ワイン造り  栽培  醸造

近年のヴィンテージ  ドメーヌの近況 

「ブルゴーニュで1、2位を争う人の良さのギヨーム・タルディ(あくまで主観)が心を込めて造るワインは、彼の人柄が乗り移ったような性格の良いものだ。いまでこそエレガンス全盛だが、だれもが濃厚なワインを造っていた頃からエレガントなスタイルを貫いてきたこの秀逸すぎるドメーヌは、上質感と味の多層感に富み、訪問するたびに品質とスタイルが磨きかかっている。」
リアルワインガイド(62号/2018年夏)より抜粋

ジャン タルディ エ フィス

ジャン・タルディ・エ・フィスは、ブルゴーニュ地方きっての銘醸地ヴォーヌ・ロマネ村に本拠地を置き、創業者のヴィクトル・タルディから3代にわたって受け継がれている家族経営のドメーヌです。現在は、当主ギヨーム・タルディが2003年からワイナリーを引き継ぎ、高品質のワイン造りに日夜励んでいます。

近年は国内外に着実にファンが増え、コート・ドールのトップドメーヌとして評価されてきました。イギリス、アメリカ、カナダやヨーロッパ各国、そして日本と、生産の大半は世界中に輸出され、フランス国内では優良ワイン専門店とレストランが主な顧客となっています。Plaza Athénée(プラザ・アテネ)、Georges Blanc(ジョルジュ・ブラン)、Lameloise(ラムロワーズ)など名だたる3つ星店をはじめ多くの著名なレストランでオンリストされています。
Georges Blanc
 

タルディ家の人々

創業者ヴィクトル・タルディ

ドメーヌとしてのタルディ家のはじまりは、ヴォーヌ・ロマネの隣のフラジェ・エシェゾーからでした。ワイン造りを始めたのは現当主の祖父にあたる、ヴィクトル・タルディで、当時は自らの畑を所有しておらず、1920年から1945年まで作業員として、ヴォーヌ・ロマネ村の名士カミュゼ家(現在のドメーヌ・メオ・カミュゼ)でワイン造りをしていました。そして第二次世界大戦後、このカミュゼ家とのメテイヤージュ(分益小作賃貸契約)がはじまり、ドメーヌ・タルディが誕生しました。

当時、カミュゼ家に畑を任されていたのは、ヴィクトル・タルディや、今では伝説のワインメーカーとなったアンリ・ジャイエを含め4名のみだったことは有名です。

ドメーヌの名声を確立したジャン・タルディ

1966年に、先代の後を引き継いだジャン・タルディは、ニュイ・サン・ジョルジュ1級オー・ブド、ヴォーヌ・ロマネ1級レ・ショームやクロ・ヴージョ特級を中心に、メオ・カミュゼ家とのメテイヤージュを継続しながらも、1981年からドメーヌの拡大に尽力し、パストゥグラン、シャンボール・ミュジニー(1984年)、ニュイ・サン・ジョルジュ(1989)、ヴォーヌ・ロマネ(1999)やエシェゾー特級(2002)を次々と入手し、ドメーヌを拡大していきます。

ワイン造りにおいては、メテイヤージュの関係もありメオ・カミュゼで働いていた際のアンリ・ジャイエからブドウ栽培とワイン醸造のノウハウを習得、偉大なワインの数々を世に送り出し、名実共に一流ドメーヌの仲間入りを果たしました。

ドメーヌをけん引する、現当主ギヨーム・タルディ

ジャン・タルディの息子ギヨームは、ボーヌの醸造学校、また、ディジョン大学で醸造学を学んだのち、オーストラリアで修行を積んだ生粋のワインメーカーです。
1997年、ギヨームは勉強を続けながらもドメーヌに参画する事を決意し、2000年にドメーヌに戻ります。そして偉大な父のもとで2001年からドメーヌの醸造を担当、2003年からはワイナリーの全てを引き継いでいます。

2007年のメオ・カミュゼ家とのメテイヤージュ契約の終了とともに、該当する畑がドメーヌ・メオ・カミュゼに返却されたので、ギヨームは、父が始めたドメーヌの拡大を継続しました。
フィサン(2006)、ジュヴレ・シャンベルタン(2007)、オート・コート(2008)やニュイ・サン・ジョルジュ1級オー・ザルジラ(2010)を購入し、ドメーヌのポートフォリオを強化しました。現在は4.65haを所有し、年間約22,000〜25,000本を生産しています。
さらに近年、ヴォーヌ・ロマネの県道沿いに位置するドメーヌに隣接したピノノワールの区画を新たに購入し、ピノノワール100%のコトー・ブルギニヨンと言う新キュヴェにも挑戦しています。
【生産AOC(2020年現在)】
A.O.C 栽培面積 植樹年 生産本数 所有/賃借 飯田取扱
Bourgogne Passetoutgrain 0.79ha 1969 5000本 所有 V2148
Côteaux Bourguignons 0.26ha 1975 - 所有 -
HC de Nuits Cuvée Maëlie PN 1.04ha 1966 6000本 賃借 V423
Fixin La Place 0.42ha 1973 2300本 所有 V2169
Gevrey Chambertin Champerriers 0.30ha 1958 1650本 所有 -
Chambolle-Musigny Les Athets 0.32ha 1929/1965 1750本 所有 V2149
Nuits St Georges Bas de Combe vieille vigne 0.45ha 1937 2450本 所有 -
Vosne-Romanée Vigneux 0.34ha 1986 1850本 所有 V2150
Nuits St Georges 1er Cru Aux Argillas 0.39ha 1969/1973 2000本 所有 -
Echézeaux les Treux vieille vigne 0.34ha 1937 700本 賃借 V2153
合計 4.65ha        

ギヨームのワイン造り

ギヨームは素直で静かな性格が印象的な好青年。ワイン造りも真面目で熱心、父に負けない優秀なワインメーカーです。父ジャンのクラシックなワイン造りのスタイルを踏襲しつつ、早くから楽しむこともできる親しみやすさを持ち合わせた、高品質なワイン造りに果敢に挑んでいます。
ギヨームは、ブドウ栽培から醸造まで技術向上に懸命に取り組み、自身のスタイルの確立に情熱を傾けます。
目指すのはフィネスとエレガンスを備え、それぞれのテロワールの個性を表現した、果実味にあふれピュアで透明感のあるイキイキとしたワインです。エレガントで柔らかな口当たりとスムーズな喉越しが印象的なワインを造っています。

栽培

ドメーヌは樹齢の高い、収量の低い畑に恵まれており、そのポテンシャルを最大限に活かして出来る限り健全なブドウを最適な熟度で収穫するために、畑の仕事を重視しています。
冬には枝を短く剪定、春の厳しい芽かき、初夏の摘房を行うことで糖度、アロマ、色素といった要素の凝縮したブドウを得ます。何よりも酸を重視し、酸がまだしっかり残っているタイミングを目指し、収穫を手摘みで行います。徹底的な畑仕事や天然堆肥の使用などで、化学製品の使用を抑え、環境に優しいリュットレゾネ(サステイナブル農法)を実践しています。

醸造

父の伝統的な方法を尊敬しながら、ギヨームはセラーの近代化に大きく貢献しました。
昔ながらの100%除梗は続けていますが、2006年からは除梗マシンを替えて、ブドウの実を潰さず、粒の状態で醸造することで抽出を強くせず、口の中に広がる充実感を大切にしています。
醸造自体は約3週間にわたります。

2001年から10℃にて約1週間の発酵前低温浸漬を行うようになり、2010年からは新型の温度管理可能なステンレスタンクを導入、よりピュアでキメ細かいワインが出来上がるようになりました。
   
発酵は天然酵母を使用し低温でゆっくりと行います。約1週間の発酵後、32℃にて4〜5日間抽出します。交代でピジャージュとルモンタージュを3〜5回ほど優しく行いながら、タンニンをゆっくりと引き出した後、新型の空圧プレス機で慎重に圧搾します。
樽熟成は、澱引きせず16〜20ヶ月間行います。澱引きしない事でCO2の発生量が上がり、ワインが外の影響から守られフレッシュさが保たれます。新樽率は、ヴィラージュ25〜40%、1級畑50〜60%、特級畑70〜100%です。

ブレンドは瓶詰めの1〜2ヶ月前に行います。瓶詰めの段階では更にワインのフレッシュ感を保つために、空気と一切触れない新しいボトリングラインにも投資しました。打栓の際に液体とコルクの間に不活性ガスを入れ、瓶内を減圧することで、瓶詰め以降もワインの酸化を防ぐ事が出来ます。

近年のヴィンテージ

2015

偉大なヴィンテージの2015年。春から非常に乾燥した気候が続きましたが、必要最低限の雨量が健全な生育を助けてくれました。暑い日々(気温37〜38℃)が続き、成長が速く進みました。暑過ぎて作業時間をAM5〜12時にずらしました。良好な天気のお陰で病気の心配はほとんどありませんでしたが、乾燥の影響で収量は25〜40%減。粘土がより多く含まれている平地の畑に比べて、斜面の畑が特に大きな影響を受けました(収量50%減)。
太陽をたっぷり浴びて、凝縮感のある、完熟なヴィンテージです。2003年を思わせるヴィンテージになりそうでしたが、収穫を例年より1週間ほど早めて(9月5日)、酸をキープしました(アルコール度数は12.7〜13.2%)。果汁がバランスよく、抽出も楽で、醸造は順調に進みました。抽出し過ぎないように、ピジャージュの頻度を抑え、厚みありながら、過熟もなく果実味に溢れたチャーミングなワインが仕上がりました。熟成ポテンシャルが高い2015年ですが、早く楽しめる柔らかなヴィンテージでもあります。2005年ヴィンテージを思い出しますが、よりチャーミングなスタイルです。


2016

出芽が早く、4月26日と28日の霜の影響で畑の大半が被害を受けましたが、コート・ド・ニュイでは後から現れるセカンド・ジェネレーションの芽がまだ出芽していなかったことが幸いしました。7月にはベト病の被害もありましたが、7〜8月は天気に恵まれ、最終的に収量は例年より25〜30%減で収まり、(シャンボールとエシェゾーは40〜50%減)非常に健全なブドウを得ました。
2010年や2012年ヴィンテージを連想させる、よりブルゴーニュらしいヴィンテージで、太陽の影響は2015年ほど強くありません。収穫は例年より遅めで(9月24日から)、先に現れたファースト・ジェネレーションの芽は若干過熟(アルコール度13%)な状態で収穫した反面、セカンド・ジェネレーションの芽は若干未熟(アルコール度11.6〜12.5%)な状態で収穫したため、最終的に全体のバランスは非常に良かったです。ジャン・タルディでは、2015年を上回るほど、近年で最も印象的なヴィンテージでした。 凝縮された赤い果実を連想させながら、タンニンがキメ細かく、フレッシュなワインが出来上がりました。2015年よりクラシックなスタイルで、綺麗な酸が長期熟成ポテンシャルをうかがわせます。


2017

2017年は霜による被害もなく、7月中旬まで天気に恵まれました。7月後半の雨の2週間を経て、湿気がしばらく残りましたが、病気は定着しませんでした。ブドウはゆっくりと太陽を浴びながら完熟しました(アルコール度12.5%)。2016年の霜で実が少なかった樹が大量に結実したので、グリーンハーベストがキーポイントとなったヴィンテージです。ギヨームは収量を43〜45hl/haまで落とし、更に1級と特級は36〜37hl/ha程度に抑えました。
2015年と同様に収穫が早かった(9月7日)ヴィンテージですが、2015年ほどブドウが凝縮されず、より飲みやすく、酸が保たれたヴィンテージになります。ピジャージュの頻度を多少上げることによって、ワインにしっかりしたストラクチャーを与える事が出来ました。若い内でも楽しめるヴィンテージで、満足感もありながら、フィネス、エレガンスやフレッシュさが特徴です。


2018

非常に温暖な年で2015年に似ているヴィンテージですが、2015年よりも収穫が早く、完熟なブドウを得ました。9月5日に収穫したにも関わらず、補糖せずともアルコール度数が13度に至りました。収穫を早めなかった生産者は15度を超えてしまいました。非常にジューシーでリッチなヴィンテージです。

ドメーヌの近況

温暖な春の影響でブドウ樹の成長が今年も早くスタートし、霜を恐れましたが、ニュイでは特に被害を受けませんでした。昨年(2019年)に比べて約3週間早い(4月20日)芽かきを始めましたが、5月に入ってから成長と共に畑仕事が一旦落ち着きました。

コロナウィルスの影響ではマスクの着用、カーシェアの中止、作業者の間にブドウ2列を置くなど、新しい習慣を身に着ける必要がありましたし、機械のメンテ、必要品の入手など、全面的に仕事が難しくなりましたが、今は落ち着いてきました。収穫時期までにこのウィルスが収まらなければ、収穫に必要な20〜40名の作業者の管理やセラーでの仕事が非常に難しくなることが予想されますが、ギヨームは積極的な性格で、収穫に向けて元気に頑張っている様子です。

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飯田