シャンボール・ミュジニィの名門ドメーヌ
アミオ・セルヴェル AMIOT SERVELLE

ドメーヌ・アミオ・セルヴェル アミオ・セルヴェルのファミリー

自然に優しいブドウ栽培 伝統的なワイン造り 近年のヴィンテージ

ドメーヌ アミオ・セルヴェル

シャンボール・ミュジニィを代表する生産者のひとつとして名高いアミオ・セルヴェルは、1920年代まで遡る小さな家族経営のドメーヌです。
1920年代にシャンボール・ミュジニィに本拠を置き、ブドウ栽培を始めたのは祖先のクレマン・タショーでした。娘のセシールと娘婿のジャン・セルヴェルが50年代にドメーヌを引き継ぎ、ドメーヌ セルヴェル・タショーが誕生します。代々女系家族で、3代目のエリザベートと結婚した現当主クリスチャン・アミオも、1980年に婿養子としてドメーヌに入りました。その後、クリスチャンは2006年に最新技術を導入、ワイナリーをリニューアルしてドメーヌの名をさらに高めました。

アミオ・セルヴェルのワインは、シャンボール・ミュジニィの特徴である、豊かな果実味と繊細さ、上品さに加えて、リッチで甘みのあるたっぷりした味わいがあります。

フランス国内での評価が高く昔から一般顧客の多いドメーヌで、有名レストランとの太いパイプがあり生産量の60%以上が国内で消費され、輸出分は割り当てで常に品薄状態です。
 

アミオ・セルヴェルのファミリー

   

当主のクリスチャンは、モレ・サン・ドニの名門ピエール・アミオ家の三男です。彼自身は測量技師として働いていましたが、結婚後セルヴェル・タショー家に入り、ワイン造りをスタートさせました。1980年からは義父と共に、1989年からは夫婦でワインを造りはじめます。こうして、ドメーヌ アミオ・セルヴェルが誕生しました。
クリスチャンは1992年から2019年までシャンボール・ミュジニィ村の栽培者組合理事長も務め、この村のワインを語る上で欠かせない存在となっています。
妻のエリザベートは、ワイン造りを夫のクリスチャンに任せてドメーヌの日常的な運営をしっかり管理しています。

クリスチャンとエリザベートには子供が3人います。長女のプリュンヌ、次女のヴァイオレット、そして長男のアントワンです。次女のヴァイオレットは音楽の教師をしていますが、他のふたりは現在ワイナリーに参加しています。両親は2019年ヴィンテージを最後に、ドメーヌをプリュンヌとアントワンに任せ引退する予定で、近年は引き継ぎの準備を行っています。ただ、クリスチャンは、暫くは一歩下がってドメーヌをしっかり見守るつもりです。


クリスチャンとエリザベート夫妻

長女のプリュンヌは、2004年に醸造学校を卒業後エノログとして国内・海外のワイナリーで経験を積み、2011年にドメーヌに戻りました。このヴィンテージからクリスチャンと共に醸造を行ってきたプリュンヌは、8つのヴィンテージを経験しており、来年からは醸造を完全に任される予定です。
ちなみに、2016年には長女が誕生しました。さすがに代々女系家族!
息子のアントワンは、2011年に来日し、インターンとして弊社で半年間にわたって様々な研修を受けました。日本酒造りにも触れるなど、日本への思いの強いフレンチガイです。

大学を卒業してからはボーヌのワインショップで経験を重ねましたが、醸造学校に通いながら2017年からドメーヌに参加、2018年に醸造学校を卒業後はワイナリーで勤務しています。醸造は姉に任せ、来年からチームの一員としてドメーヌを運営する予定です。アントワンは、2019年からシャンボール・ミュジニィ村栽培者組合の副理事長も務めており、クリスチャン同様、産地の発展に貢献していくことでしょう。

プリュンヌとアントワン姉弟

自然に優しいブドウ栽培

アミオ・セルヴェルの歴史的な畑は全てシャンボール・ミュジニィにあります。
ACブルゴーニュクラスの畑さえシャンボール・ミュジニィ村名畑に接する県道D974号線(旧国道N74号線)を渡った所に位置しています。

2010年からシャンボール・ミュジニィの7haに、クリスチャンがアミオ家側から相続したモレ・サン・ドニ(村名&特級)とジュヴレ・シャンベルタン(特級のみ)の1haが加わり合計8haの畑を管理しています。

ドメーヌでは、ジャン・セルヴェルの時代から除草剤不使用で、自然に優しい目線でブドウ栽培を行っています。1990年から昆虫駆除には交信撹乱剤(※セクシャル・コンフュージョン)を使用しています。
※セクシャル・コンフュージョンとは
蝶や蛾のメスのフェロモンと同じ香りを塗りつけ、オスの生殖活動を混乱させて産卵を防ぐ方法で、害虫を殺さずに散らすことが可能。

クリスチャンは2003年から畑を本格的に有機農法に切り替え、2008年にはドメーヌ全体でオーガニック認証を取得しました。ただし、認証取得には3年の転換期間が必要なので、2010年に引き継いだモレ・サン・ドニとジュヴレ・シャンベルタンの畑だけは認証が2013年以降となります。

有機栽培を実施する上で、畑での仕事を何よりも大事にしています。

定期的に土を耕し、微生物の活動を支えています。肥料としてはコンポストを使用し、求める凝縮感を得るために収量を念入りに管理しています。風通しを強化し畑の収量を押さえるためにコルドン・ロワイヤ仕立て、樹齢の高い畑ではギュイヨ仕立てで栽培しています。植密度は10,000〜12,000本/haで、必要に応じてグリーン・ハーベストを行います。ブドウは完熟したもののみを注意深く小さなケースを使って手摘みで収穫します。

伝統的なワイン造り

この地−シャンボール・ミュジニィのエレガントな個性を最大限に表現するワイン造りを目指しています。
畑での選果の後、ワイナリーで選果台を使って更にブドウを厳選します。ヴィンテージによって部分的に梗を残します。
醸造は伝統的に行います。
選果後、10〜12℃で4〜5日間発酵前浸漬を行い、温度管理のもと天然酵母によってステンレスタンクで発酵させます。ポリフェノール等の成分を十分抽出するため、ルモンタージュとピジャージュの両方を行います。空圧式プレス機でソフトに圧搾した後、重力を使って樽まで移動させます。
その後アペラシオンによって10〜75%の新樽を使用し、15〜18ヶ月熟成させます。ワインは無ろ過(ヴィンテージによっては軽くろ過)で瓶詰めします。

近年のヴィンテージ

2015年

優しい冬を経て温暖な春でした。4月末〜5月頭の雨で成長が速まり、6月末に開花が行われました。7月末まで温度が上がり続け、8月頭の雨が温度を下げてブドウの生長を支えました。9月からは例年並みの気温が続き収穫は順調に10日からスタート、特級とレザムルーズから始まり、15日にACブルゴーニュ赤白で終わりました。夏場は乾燥していたため、収量は例年より少なかったですが(20〜30%減)凝縮感は増しました。選果はほとんど必要ないほど健全で熟度の良いブドウができ、素晴らしい収穫となりました。そのため、無除梗を例年より多少増やしました。平均収量40hl/ha。リッチながらもバランスよく、熟成のポテンシャルのあるヴィンテージです。

2016年

4月の霜の影響で収量が非常に少なかった(70%減)ヴィンテージです。4月以外は良い天候でしたが、霜で成長が遅れ2015年に比べ遅い収穫となりました。2015年と同様ブドウはよく熟しましたが、成熟のタイプが違います。2015年は太陽の影響が強くブドウが急に熟したため、ワインには暑い年の特徴が現れています。2016年は夏後半は暑過ぎない日々が続いたため、ゆっくりと熟したヴィンテージで、収穫を10月頭まで遅らせて理想的な熟度で収穫が出来ました。2015年に比べてよりブルゴーニュらしく、どちらかというと2010年に近い、クラシックなヴィンテージです。 収量が非常に少なかったため、ブドウが凝縮しており、アルコール度数が初めて14度を超えました。昔から13.5度のワインしか造っていなかったクリスチャンが全商品のラベルを印刷し直したほどです。 凝縮感があってチャーミングですが、綺麗な酸も保たれて若くても楽しめる一方、ポテンシャルに溢れる素晴らしいヴィンテージとなりました。

2017年

2017年は運よく霜の被害はありませんでした。温暖な春の影響で生長が早く始まりました。多少雨に降られ病気のプレッシャーも感じましたが、全体的にトラブルなく9月中旬の収穫までスムーズに進み、健全で完熟したブドウが得られました。バランス良く、多少若くても楽しめるヴィンテージです。 ただブルゴーニュ全体では、低収量のヴィンテージが続いたため、何らかの被害を予想してグリーン・ハーベストを控えた生産者も多かったですが、アミオ・セルヴェルでは、平均収量42hl/haと、変わらず収量をしっかりと管理しました。 2015年と同様に太陽の影響の強いヴィンテージで、完熟したブドウに由来する満足感があります。

2018年

ゆっくりと始まったヴィンテージでしたが、4〜5月の高温と雨の影響で成長が急に進みました。夏場は高温が続き、雨不足にもかかわらず成長も色づきも順調に進み、収穫は9月1日から始まりました。糖度も高く品質の良いブドウが収穫でき、収量にも恵まれた喜ばしいヴィンテージでした。しっかりしたストラクチャーとなめらかなタンニン、そして凝縮感のあるパワフルなワインです。全体的に、よく熟した果実味が印象的なバランスの良いヴィンテージです。

2019年

初春は成長が速く進みましたが、開花は例年よりも遅かったです。4月の非常に低い気温と夏場の記録的な暑さの影響でブドウ樹はストレスを受けましたが、収量は落ち過ぎませんでした。収穫が順調に進み非常に出来の良いヴィンテージです。品質の面でも非常に良好で、キレイな酸があり、バランスの取れた質の高いフレッシュなヴィンテージを見込んでいます。

昨今、ブルゴーニュでは多くの著名生産者の間で若手への世代交代が進んでいます。
彼らは知識もさることながら、親達に負けない情熱を持って素晴らしいワイン造りをしています。
翻って、シャンボール ミュジニィの名門、アミオ・セルヴェルの次世代を担う姉弟 − 茶目っ気たっぷりで親しみやすいアントワンと、しっかり者のプリュンヌ。
二人は力を合わせ、この名門ドメーヌの名声を一層高めていくことでしょう。
彼らの今後にご期待下さい!

ワイナリーの詳しい情報はこちらをご覧ください。

 

飯田