コルデロ ディ モンテツェモロ
オーナー来日記念 セミナー実施報告

ピエモンテ州:ランゲ地区 コルデロ ディ モンテツェモロ

ワイン造りのこだわり セミナー試飲アイテム

去る2019年9月26日、イタリア ピエモンテ州 バローロの生産者「コルデロ ディ モンテツェモロ」のオーナーアルベルト氏が来日、それを記念して都内にてミニセミナーを開催いたしました。

今回はそのセミナーでの様子、コルデロ ディ モンテツェモロについてレポートしたいと思います。

オーナー:アルベルト セミナー風景
オーナー:アルベルト
セミナー風景
 

ピエモンテ州

ピエモンテとは「山の麓」という意味合いで、イタリア北部アルプス山脈の南側に広がり、フランス国境に沿うように位置しています。東側がアルファベットの「C」の形でアルプス山脈に囲まれているため、地中海性気候ではなく冬場は寒くて雪が多く、夏場は暑くて乾燥した内陸性気候になります。
ワイン産地としてもイタリアで6番目に広い43,000haから18のDOCG、42のDOCを有し、年間2億8千万本を産み出すイタリア随一の産地でもあります。(2019年現在)

ピエモンテの風景

ランゲ地区

州の南部に位置する広大な丘陵地帯を有するエリア。標高200〜900mの急斜面を含む複雑な地形となっており、中心都市のアルバはトリュフやへーゼルナッツでも有名な街です。
バローロ・バルバレスコといったイタリアを代表する赤ワインの産地でもあり、元々海底だった場所が隆起し、そこへ氷河が運んだ堆積土も重なった土壌です。

 

コルデロ ディ モンテツェモロ

コルデロ ディ モンテツェモロ家は非常に歴史のある生産者で、ファミリーの歴史は1340年にまで遡ることができます。
ピエモンテ州で何世紀にも渡って出版の業界などで高い評価を受けてきた貴族階級のファミリーで、現オーナーのアルベルト氏はなんと19代目にあたります。

バローロには、11の村に約2,000haのブドウ畑があり、約300のワイン生産者が存在しています。畑は長い歴史の中で分割や相続によって細かく分かれ、今では同じエリアにまとまった広い区画を所有する生産者は、4~5社程度しかない非常に貴重な存在となっています。しかしラ モッラ村のモンファレットと呼ばれる段丘のブドウ畑は代々に渡りランゲ地方の名家であるファレッティ家が所有しており、コルデロ ディ モンテツェモロはこのファレッティ家との婚姻により、現在このエリアで28haの区画を所有しています。

そのため、行き届いた手入れが可能で、最も遠い畑でも収穫から2時間以内、白ワインの場合は収穫から1時間以内に醸造所へ運ばれます。90年代から生物の多様性維持のために自然にやさしい農法を実践してきましたが、2013年からオーガニックへの転換をスタート、2017年ヴィンテージから全てのアイテムが認証を取得しています。
2014年にはイタリア50番目の世界遺産として『ピエモンテのブドウ畑 ランゲ・ロエロ・モンフェッラート』の景観が認定された際に、長年にわたるピエモンテでのワイン造りが評価され、歴史ある建造物としてワイナリーも合わせて世界遺産に認定されています。

ワイナリーのシンボル「レバノン杉」

1856年にファレッティ家の先祖が結婚の記念に標高300mモンファレットの丘の頂上に植えた杉で、今ではワイナリーのシンボルであると共に、地域全体のランドマークにもなっています。
レバノン杉
 

コルデロ ディ モンテツェモロのワイン造り

「土地の特性を活かしたエレガントなワイン造り」をフィロソフィーに、瓶熟成に重きを置き、樽熟成でも新樽使用率は低めにしています。瓶熟成を重視する理由は「バランス」とアルベルト氏は言います。樽に比べゆっくりと酸化熟成が進むことで、パワーだけではなくエレガンスを表現できると言います。

今回のセミナーではこのフィロソフィーを、試飲を通じてより実感してもらいたかったとアルベルト氏は言っていました。


セミナーでの試飲アイテム

 
V781
商品名
CORDERO DI MONTEZEMOLO  ARNEIS LANGHE
コルデロ ディ モンテツェモロ アルネイス ランゲ
番号
V781
タイプ
白 / 辛口
クラス
DOCランゲ
品種
アルネイス100%
ヴィンテージ
2018
ランゲ、アルバ、ロエロの3つの区画のブドウを使用。砂質土壌由来の繊細なロエロに礫と泥の混じったミネラリーで果実味の豊かなランゲ、8〜12億年前の固く密度の高い土壌から生まれる力強さのアルバと様々な味わいのブドウがブレンドされ、非常にバランスの良い味わいです。
元々酸の低いといわれているアルネイスのワインですが、コルデロ ディ モンテツェモロのアルネイスはしっかりとした酸が骨格を形成しており、果実由来の甘みは感じるものの、残糖は1g/L弱としっかりと辛口で飲み疲れない、食事に良く合うテイストに仕上がっています。
 
 
V772
商品名
CORDERO DI MONTEZEMOLO DOLCETTO D’ALBA
コルデロ ディ モンテツェモロ ドルチェット ダルバ
番号
V772
タイプ
赤 / ミディアム
クラス
DOCドルチェット ダルバ
品種
ドルチェット100%
VT
2017
ドルチェットは昔からこのエリアでデイリーワインとして親しまれていたワインです。40〜50年前までは今よりももっと軽やかで様々な料理に合わせやすいワインだったそうです。バルベーラやアルネイスが1970年代から生産が本格的になったのと違い、ドルチェットはこのエリアで非常に長い歴史を持つ品種なのです。
現在多くの生産者がスペリオーレなどしっかりとした味わいのドルチェットに向かっている中、コルデロ ディ モンテツェモロでは今でもシンプルで果実味と酸味のバランスを重視した食中のワインとしての位置付けでベーシックレンジのみを造っています。
ラ モッラとアルバの2つの区画のブドウを使用し、マロラクティック発酵から熟成で一部古樽を使用するものの、基本的には醸造はステンレスタンクを使い、果実味を活かした造りとなっています。
 
 
V086
商品名
CORDERO DI MONTEZEMOLO BARBERA D’ALBA SUPERIORE FUNTANI
コルデロ ディ モンテツェモロ バルベーラ ダルバ スペリオーレ フンターニ
番号
V086
タイプ
赤 / ミディアムフル
クラス
DOCバルベーラダルバ スペリオーレ
品種
バルベーラ100%
VT
2015

アルコール度数13.5%以上のスペリオーレクラス。モンファレットの中でも最も古い肥沃な泥土壌の単一区画で、1950年代に植樹した樹齢60年のバルベーラを栽培しています。
様々なサイズのフレンチオークで15ヶ月の熟成後、最低12ヶ月の瓶熟成を経てリリースされます。骨格のしっかりした辛口で厚みのあるテイストです。8〜10年で飲み頃になっていき、20年以上の熟成ポテンシャルのあるスペシャルなバルベーラです。
年間8,000〜10,000本と生産量も非常に少ないワインです。

 
 

バローロ

セミナー当日のバローロ3品は全て2014年でした。2014年は夏の雨の影響でネガティブなイメージを持たれる方が多いが、ネッビオーロのような晩熟のブドウにとってみると、10月末の収穫までの最後の2ヶ月は好天に恵まれ、非常に良い収穫となったそうです。アルベルト氏曰く「バランスが良く熟成の可能性も秘めたヴィンテージ」とのこと。

バローロの規定では36ヶ月の熟成が義務付けられており、そのうち樽熟成は最低18ヶ月とされています。コルデロ ディ モンテツェモロでは、先述したとおり「飲み口の心地よいワイン造り」を心がけており、18〜24ヶ月とそれほど長くは取らず、代わりに瓶熟成を12~18ヶ月と長めにしています。
V779
商品名
CORDERO DI MONTEZEMOLO BAROLO MONFALLETTO
コルデロ ディ モンテツェモロ バローロ モンファレット
番号
V779
タイプ
赤 / フルボディ
クラス
DOCGバローロ
品種
ネッビオーロ100%
VT
2014
コルデロ ディ モンテツェモロで最も歴史があり、人気のクラシックなバローロです。モンファレットの標高250〜300m、マンガンやマグネシウムを豊富に含む粘土石灰質の土壌で、樹齢15〜30年の8区画のブドウを別々に収穫・醸造、ブレンドして造られます。
バラやスミレ、ラベンダーのような花の香りにまろやかなタンニン。ラ モッラのバローロの特徴のひとつでもある女性的でソフトなテイストに仕上がっています。
 
 
V2414
商品名

CORDERO DI MONTEZEMOLO BAROLO GATTERA

コルデロ ディ モンテツェモロ バローロ ガッテーラ
番号
V2414
タイプ
赤 / フルボディ
クラス
DOCGバローロ
品種
ネッビオーロ100%
VT
2014
ワイナリーのシンボルでもある「レバノン杉」の麓、ラ モッラ村のクリュ「ガッテーラ」の中でも、標高300mにある樹齢40〜50年の最良の僅か1haの区画、僅か1haの単一畑から造られます。年間僅か5,000〜6,000本しか生産されないスペシャルキュヴェです。
モンファレットに比べると、タンニンもきめ細かく滑らかな舌触りで、骨格の緻密さと全体に複雑さが感じられます。
 
 
V778
商品名
CORDERO DI MONTEZEMOLO BAROLO VIGNA ENRICO VI
コルデロ ディ モンテツェモロ バローロ ヴィーニャ エンリコ VI
番号
V778
タイプ
赤 / フルボディ
クラス
DOCGバローロ
品種
ネッビオーロ100%
VT
2014
ワイナリーのあるラ モッラの村から2kmほど南東にあるカスティリオーネ・ファレット村のクリュ「ヴィレッロ」の2.2haの単一畑。アルベルトの祖父が1959年に購入した区画です。その年に生まれた6番目の息子の名前「エンリコ」にちなんで名づけられたワインです。ラ モッラよりも緻密で肥沃な粘土質の土壌から造られるワインはバルサミコやリコリスを思わせる香りに豊富なタンニンを持ち、男性的でパワフルなバローロと評されます。
 
 
当日のセミナーでも来場者の方から、アルベルト氏がオーナーになって新たに取り組んでいることや変えたところはありますか?という質問がありました。アルベルト氏は気候や環境に対応はしていくが、あくまでも自分たちのフィロソフィーは変わらないと言います。昔から守ってきた自分たちのワインのスタイルを踏襲するために手段は変わっていくが、目指すべき味わいは常にひとつだと言います。 バローロ随一の約680年もの歴史を誇るコルデロ ディ モンテツェモロ、今回の来日セミナーを通して、長い歴史に支えられ、彼らが守ってきたものや目指すべき方向性を改めて知ることができました。

今回セミナーでご紹介した以外にもコルデロ ディ モンテツェモロには魅力的なワインがたくさんございます。
その他のワインの情報はこちらからご確認ください。
飯田