CHATEAU PESQUIE/シャトー ペスキエ |
2日目の朝に訪問したのは、「プロヴァンスの巨人」といわれるヴァントゥ山麓に本拠地を置く、シャトー ペスキエです。
今やヴァントゥでリーダー的存在のシャトー ペスキエは、ヴァントゥ山の南側斜面に100haの畑を所有し、恵まれた地理的条件と充実した施設から、ローヌ地方の典型的なブドウ品種を用いて滑らかで上品な味わいのワインを造っています。
オーナーは元理学療法士のポール・ショディエールで、2003年から二人の息子が近代的な美しいシャトーを引き継いでいます。 |
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晴れ渡る空に心地よい風がお出迎え。
今回対応いただいたのは、マーケティングを担当している長男のフレデリックさんと当社へぺスキエのワインを日本に紹介してくれているアルノーさんです。 |
ヴァントゥエリアは標高が高く、250〜400mほどのところにあります。2000m級のヴァントゥ山は山頂が石灰質のため常に白く、その見た目から“Petit Mt.Fuji”と彼らが表現する山で、アルプス山脈の一つです。
ここから吹き降ろす冷たい風がヴァントゥとボークリューズ台地の間にとどまって涼しさをキープし、独特のテロワールの形成に大きな役割を果たしています。
南ローヌでも特に収穫の遅いエリアで、以前はその涼しさゆえにブドウの熟度が上がりづらかったそうですが、今は温暖化の影響で30年前と比べて2週間収穫が早まり、酸をキープしつつ完熟したブドウを収穫できるようになりました。
フレデリックさんはこの温暖化の影響についても将来を見据え研究に余念がないようです。
(完熟までにより暑さを求めるムールヴェードルや、酸度が高く色素が薄いサンソーに可能性があるとの話がありました。) |
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自社畑は全部で100ha。10数年前からスタートしたオーガニック栽培はようやく100%転換が終了し、2018年にエコセール認証取得。2015年の収穫後から実験的にスタートしたビオディナミも着実に進んでおり、認証も取得予定との事です。ゆくゆくはすべてビオディナミへの転換を目指すようです。
ワインの試飲では、「白とロゼはマロラクティック発酵はしていない」という話があり、「酸を意識したワイン造り」が理解できます。
また今回の訪問で新たなラインナップとして新トップキュベの“アサンシオ”、アルテミアと同クラスの“シリカ”を加えてよりテロワールの個性を打ち出していくとの話でした。アサンシオは、インキーで粘性の強い果実感。シリカは砂質土壌にこだわった逸品で濃厚ながらジューシーで飲みやすさもあります。(今秋入荷予定)
新たなラインナップも加わり、更にパワーアップしたシャトー ペスキエのワイン、今後更なる可能性を秘めたヴァントゥのワインにぜひご注目ください!(T) |
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左からアサンシオ、シリカ、取扱中のアルテミア |
フレディックさん |
土がふかふかなビオロジックのブドウ畑 |
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CHATEAU MOURGUES DU GRES/シャトー ムルグ デュ グレ |
3日目の最初の訪問先は、ローヌ渓谷最南端のワイン生産地AOCコスティエール・ド・ニームのワイナリー、シャトー ムルグ デュ グレです。
シャトー ムルグ デュ グレの現当主フランソワ・コラールは、醸造学を学んだのちシャトー ラフィット ロートシルトで修行を重ねたワイン造りの名手で、1990年、コスティエール・ド・ニームが新たにAOCに認定されたのを機に家族が運営するワインリーに戻ってきました。現在、ローヌ河沿岸に約60haの大変日当たりの良い畑を所有し、太陽の恩恵を十分に受けたテロワールから素晴らしいワインを造っています。 |
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<自然の恵み“ガレ”>
オーナーご夫妻もエクスポートマネージャーのオリビエさんも非常に優しい方。
畑は60ha所有で生産量は40万本、思っていたより規模も大きく、高品質ながらリーズナブルな価格を実現している理由のひとつだと感じました。
コスティエール・ド・ニームの特徴は写真のガレ(丸石)です。プロヴァンスの言葉では「グレ」と言い、これがワイナリー名の「グレ」に当たります。実際に畑を見てみると5cmぐらいのものからこぶし大ぐらいの大きなものまで無数のガレで畑が覆われているようです。
この丸石は氷河期の頃、山から川を伝って転がってきて、その時間の中で丸くなった石とのこと。 |

ガレ(丸石)とムルグ デュ グレのワイン |
ニームでは、この水はけの良い丸石の土壌と下層の粘土質のおかげで、年に数回ある大雨の際も水が溜まりすぎることはなく程よく貯えられるので、ブドウの根はその水分を求めて長く伸びています。
またガレは保温効果もあり土中の温度が高くなりますが、冷たい風(ミストラル)が吹くことで空気が循環し、ほどよく冷やされるとの話でした。非常にうまく出来た自然のシステムで、出来るべくして出来たワインなのだろうと思いました。
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ニームのテロワール
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畑を歩くと所々ハーブやジュネ(日本語でエニシダと言われる黄色い花)、アーモンドの木などが目に留まります。聞くとブドウ畑だけと言う環境では害虫等の被害にあったときに対処できない。色んな草木があることでお互いを守りあい、また一つが駄目になっても他の草木が健全なことでそこの自然全体を守っていくという考えです。
環境も自然なまま置いておくことでブドウにとっても良い環境が維持されるとだと理解しました。 |
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ジェネ(エニシダ) |
ハーブ |
当主のコラールご夫妻 |
樹齢65年のグルナッシュ |
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<ガレから生まれるナチュラルなワイン>
ワインは100%オーガニックのナチュラルな味わいで、派手さはありませんがじんわりと口に広がっていく印象です。ご自宅でランチをご馳走になりましたが、すべて奥様の手作り!そのお料理とワインがしみじみと良く合います。アンショワイヤード(冷製バーニャカウダ)に野菜をディップしたものや地元のトマトには「レ・ガレ・ドレ・ブラン」、ナスのケーキパンには「レ・ガレ・ルージュ」、サラミやテリーヌには「テレ・ダルジョーンズ」が良く合います。ワインが主張し過ぎないからこそ料理に寄り添ってくれるイメージです。本来のワインの楽しみ方を改めて感じさせられました。
ラベルに描かれている“SOLE”と書かれた四角の紋章のようなものは“日時計”で、「太陽がなければ、何もない」という意味だそうです。「太陽の恵みがあるからこそ私たちはワインを造る事ができるのだ」というメッセージです。そんなオーナーご夫妻の人柄がにじみ出た素晴らしいワイン、一度お試し頂ければと思います。(T) |
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